1- レス

【初等・中等】国語専攻【学年問わず】


[664]名無しさん@愛教ちゃんねる:2011/07/16(土) 22:31:58
◎ガキのくせにと頬を打たれ
→すぐ前の話題から転じて、「ガキ」について。これ以後もいくつかの挿話が続く。
これらは全く別の話ながら、ある共通性がある。学歴・年齢・性別など、所与の
既成概念としてあるものに抵抗することのできない不条理の告発である。
ここでも年齢の若い「ガキ」が何らかの主張をし、それが内容ではなく「ガキのくせに」
という理由で暴力的に退けられた様子が目に浮かぶ。これも当時の時代であり、
商業主義・市場主義が若者をターゲットとして若者を祭り上げる現代とは、想像以上の
隔たりがある。

◎少年たちの眼が年をとる
→そんな少年たち。ここでは「眼」に注目する。眼は口ほどに、というように、
それは気持ちが表れる。ここで「ガキ」は抵抗していない。ただひたすら、年長者の仕打ち
に耐えるばかりである。そんなときの、内面がよく表れた「眼」。それが「年をと」っている
と中島はいう。それは成長ではない。あきらめを自覚し、年長者の都合のいいように迎合する
ことだ。それはよりよい方向に向けての進歩などではなく、単に「年」を重ねた年長者に近づいた
だけのこと。本当にいいたいこと、正しいことを心に持っていても、それをうかつに主張しては
いけないということを悟っただけのこと。それを、老いるということへの、もっといえば悪ずれ
するということへのイメージを重ね合わせて、「年をとる」と表現している。しかもそれは「眼」だ。
心でもなく、体でもなく、「頬を打たれ」るのを我慢しているだけの「眼」。



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