1- レス

【初等・中等】国語専攻【学年問わず】


[611]名無しさん@愛教ちゃんねる:2008/01/13(日) 01:44:56
「あらゆるものと距離を置くこと」とは、村上春樹文学に共通するテーマのうちの
一つであるが、このことはあんがいと難しい。我々の生活にひきつけて考えると。
このことは、たとえば、藤原基央が、自らの歌詞のモチーフとして、
  どこへ行っても自分は自分、ということを伝いたい
とラジオで語ったことともつながる。
巨視的な視点からは、近代のいわゆる「個」の成立とも、関わりがあるのか、ないのか。
卑近なところでいえば、中高文学教材に一人称小説が激増していることとも
関係があるのか、ないのか。
社会学的にいえばそれは、自我-客我の中の、客我の増大、あるいはリースマンが
いうところの、もはやカノンである他人指向型人間・社会の広がりともいえようか。
気が付けば昨今、こうした自分の自我を強固に守ろうとする歌詞が多いのではないか。
「どうすれば傷つかずにいられるのか」と歌ったのはグレイ・得ぐ座得るだが、
これは現代の若者の、閉塞したコミュニケーション状況の心象風景に他ならない。
そのことは、たとえば蜻蛉日記における「われ」の語のあり方とも、十分交感する。
文学は、そして言説は、おおきな時代と人の<うねり>としてつながっている。
そのことを、教科国語科として、「すくい」上げることができればと思う。


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0ch BBS 2005-12-31