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【初等・中等】国語専攻【学年問わず】
[587]名無しさん@愛教ちゃんねる:2007/09/29(土) 16:21:11
以下、簡単にではありますが、各時代ごとにどのような解説がなされるのか、
川端康成『雪国』を素材として説明したいと思います。
一部具体的な人物を想起させるような発言もありますが、それは思い違いです。
実際の人物・団体とは一切関係ありません。
(上代的説明)
国境……それは異界との接点であるのですから、そこを抜けた先は、つまり非日常的な世界となっているわけです。
男は日常的な世界からトンネルを抜けることによって異界へ到達することができた。
その先ではこちらの世界の論理は通用しません。そこにあるのはいわゆるカミの世界であって、
人々はカミの存在を恐れ、敬っているわけです。
駅長もカミです。駒子もカミの一種であり、これは白鳥処女譚の一つとなっています。
ところで、君、「雪」の語源って何?それにしても変わったTシャツ着てるねぇ。
(中古的説明)
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」……当時の姫君たちはこのような絵巻物を見ながら、
傍らにいる女房の語りを聞いて物語世界を理解していました。
物語世界に語り手の感想がふっと現れることがあり、それを草子地と言います。
冒頭の一説も語り手の視点であって、
これは色好みとして以後物語世界に君臨する島村を、読者の非難から守る作者なりの言い訳でもありました。
一見矛盾する内容であるこれらの表現も矛盾として理解していく姿勢が肝要なのです。
それにしても『雪国』には私たちを、何か縹渺とした、はるかな思いに誘うようなものがありますね。
それはロマネスク的世界にも通ずるものだと言えるでしょう。
現にバルトもトーマス・マンもそう言っているのですから。
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